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九つの空文庫本

 こんな面白い旅行記があるだろうか。
 遠い空の下、未知の海へ、いろいろな言葉を話す人々。この雄大な地球の全てが、先生の心の中で数々の音楽として描かれていたに違いありません。
 コモドの大蜥蜴に追いかけられた恐怖、平原に突如現れた巨岩真っ赤に燃えるエアーズロック、「フィンガルの洞窟」では木霊する波頭の上げる重低音にメンデルスゾーンの作曲意図を聴き、広大さを拒絶するように万面が仏像で埋められたアンコールワット、太平洋に忽然と浮かぶ巨大な須美壽島、栄枯衰勢、売れっ子音楽家フォスターの悲惨な最期、先生の探究心と好奇心とが余すところなくユーモアー溢れる文章で綴られ、息をつくひまもなく興奮して読みました。  
 そして、その文章から発散する魅力的な旅への誘いの豊富な言葉に我を忘れて旅へ出たいという思いに駆られてしまうのです。
 何しろ、種々の楽器が奏でる音楽にも似て、文章の醸し出す謂われないシンフォニーがあなたを感動の淵に追いやるに違いないのです。
 先生の語り口には、形こそ違え音楽と言葉、二つの芸術が全く、異なる観点からこの巨大な世界を表現して、視覚と聴覚を心地よくくすぐるのです素晴らしい写真家たちが先生の語りを一層興味深いものにしています。(早崎日出太)

注記:エアロ・コマンダー機の写真については2010年6月11日佐伯邦秋様「ヒコーキ雲」にリンクをご承認いただきました。2021.01.27
書  名価格編 者発行所頁 数寸  法
九つの空 880円團 伊玖磨朝日新聞社362185×213×00
初版:1971.3 絶版
九つの空440円團 伊玖磨朝日新聞社252150×170×18
初版:1972.12.15  
九つの空(新装版)880円團 伊玖磨朝日新聞社311158×156×17
初版:1975.06.30 
ISDN0095-254299-0042
九つの空(文庫)440円團 伊玖磨朝日新聞社322106×148×18
初版:1979.11.20 
ISDN0195-260053-0042
項目名文庫頁掲載誌掲載日カメラマン
南海紀行(東京の無人島群)
99
季刊雑誌
週間朝日カラー別冊
1968.~1971
1968.夏 エアロ・コマンダー機から撮影
1968.秋 船での航海
秋元啓一
吉江雅祥
石の歌(アンコール遺跡群で)

45471969.春富山治夫
北の海で
スタッファー、そしてシェトランド諸島
フィンガルの洞窟
フィンガル
73751969.夏稲村不二雄
燕窩行(燕の巣を訪ねて)
タイ、▶インドネシア、▶マレーシア
1091131969.秋富山治夫
仙人掌と爆弾と(アメリカの砂漠で)
サボテン
1411471969.冬富山治夫
オラコモド島大蜥蜴
バリ島、▶インドネシア
1711791970.春吉江雅祥
スワニーの彼方
ステファン・コリンズ・フォスターの悲しみ
2132231970.秋富山治夫
フォアグラ(鵞鳥と茸の不思議な結婚)2452571971.正月広瀬裕子
赤い岩(エアーズ・ロック周辺)
ウルル=エアーズ・ロック
2772911970.夏船山克
あとがき307 3221971.年初夏スゥエーデン ストックホルムにて
文庫版あとがき 
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ウルル=エアーズ・ロック【オーストラリア大陸Wikpediaより】